失格社員

失格社員(新潮文庫)
江上剛
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4/5
読了♪

サラリーマンが守るべき(?)掟を「モーゼの十戒」になぞらえた短編ストーリーにしてある、さすが江上剛って感じのリアリティがバックグラウンドになってるのが魅力。

ノルマに追われるリテール部門の営業担当者とか、次期頭取を狙う頭取秘書役の役員とか、同期が外資系に転職してあせりを感じてる若手社員とか、いかにもいそうな人たち、戒律を破った人に忍び寄る破綻の影。帯には「お客のために、家族のために、そして自分のために働け。決して会社のために働くな(あとがきより)」っていうコピーがあるけど、会社のために働いちゃった人たちの末路、とも読めなくも無いかな。

ちょっとブラックで、ちょっと笑えるお話がいっぱいです。

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西の魔女が死んだ 

西の魔女が死んだ 新潮文庫
梨木 香歩

51k6b7p3pql_ss500_ 10/17♪
童話チックなファンタジーかと思って敬遠してたけど、読んでみるとなかなか深い。

主人公は中学でイジメにあって不登校になって、田舎にいる祖母のところに預けられる。祖母はイギリス人で、田舎の一軒家でイギリスの田園婦人風の自立した生活を送ってて、主人公はここで祖母と一緒にしばらく暮らして、そしてまた都会の生活に帰っていく。祖母と暮らす日々の描写がいきいきとしててすごく良い、楽しい出来事や小さな事件、祖母とのちょっとした行き違い。

そして都会の生活に帰ったあとは、祖母のことは気になりながらも心の片隅に追いやってる様子が推察されるんだけど・・・

いつかやってくる肉親との別れを考えさせられる一冊、かな。

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君達に明日は無い

君達に明日は無い 新潮文庫
垣根 涼介

51eljayqhl_ss500_ 10/26♪

主人公は、企業からの依頼を受けて退職勧奨したい社員の面接を行う、言わば首切り請負人。日本では法的に指名解雇は難しいから、社員が自発的に退職を受け入れるように誘導するっていう、その面接のプロ。ある意味かなり暗い場面設定なんだけど、主人公のこの仕事にかける熱意と、披面接者(つまり、クビになっちゃいそうな社員)のドラマが魅せるストーリーがおもしろい。

ついこの間まで終身雇用が基本だった日本のサラリーマン社会では、退職勧奨=落伍者みたいなイメージもあったけど、いまや現実は必ずしもそうじゃない。今までくすぶってたのが新天地で大活躍ってなりそうな人もいれば、いろんな事情で辞めるわけにはいかなくて今のままでがんばる人もいる、辞めてみたけど思い通りにならなくて逆恨みしてくるおじさんもでてくるよ。

しんみりしつつじわっと笑えて、気がついたら元気がもらえる、そんなタイプの本だったよ。

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反自殺クラブ

反自殺クラブ 池袋ウェストゲートパークⅤ 文春文庫
石田衣良

51cg4zhdy3l_ss500_ 9/28読了♪

表題作他短編が4編収録されてます。

相変わらず、池袋近辺でのさまざまな事件にまきこまれていく「マコト」、そして半分面白がりながらもマコトに手を貸す池袋ギャングの王様や幼馴染のヤクザやなじみの刑事。

イケメンがあふれるこのシリーズ、ほんのちょっぴり裏社会のさわりを見せつつ、あくまでライトに読ませてくれます。tomoがちょっと疲れたときに気分を変えるのに、最良の一冊のうちの一つだよ。

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床下仙人

床下仙人 祥伝社文庫
原宏一

Dsc06773 9/24読了♪

なんとも不思議な読後感、これを何にたとえたら良いんだろう。

表題作をはじめとした、ちょっと冴えないワーカーホリック的な男性サラリーマンが主人公の短編が5つ収録されてる。表題作の「床下仙人」は、無理してローンを組んで念願のマイホームを手に入れたのは良いんだけど、どうもこのマイホーム、床下に「仙人」が住んでるらしいっていう突飛な出だし。でも主人公はなんせモーレツサラリーマンだから、気になりつつも海外出張や、仕事のトラブル処理で会社に泊まりこみやら、忙しい日々。そして最後の種明かしが・・・

コメントを寄せているイッセー尾形氏は「カフカに勝る」と絶賛してました。とにかく、気になる人は読んでみて!

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憑神

憑神 新潮文庫
浅田次郎

51murmihecl_ss500_ 5/7読了♪
江戸末期の武家の次男坊、せっかく婿入りした先で婿いびりにあって長男が後を継いでいる実家に出戻ってきて、年老いた母と離れで暮らしている。蕎麦を食べる小銭も無いようなものすごい貧乏暮らしで、同輩が神社で出世祈願をしたらホントに出世したって言う噂話を聞いた帰り道、ふと目の前に出現した祠に手を合わせてみたら・・・

これがとんでもない神様をまつる祠で、なんと貧乏神に取り付かれちゃう!

浅田次郎さん特有の軽快にたたみかけ、随所で笑わせる展開。個人的にはもうちょっと違う結末を期待していなくもなかったんだけどね。

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バッテリーⅥ

バッテリーⅥ 角川文庫
あさのあつこ
41v73jigkjl_ss500_ 4/22読了♪

一冊目から読みついできて、この第六巻で一応のシリーズ完結となった。終わり方は「想定の範囲内」っていうか、ほぼ予想通りだけど、最後に向けてそれなりに収束していて一気に読めました。個人的にはこの本は第一巻が一番好きだったから、第二巻以降は無くてもいいかなっていう感想はかわらないけど、続きがでたらまたきっと呼んじゃうだろうなと思ってたら、挟み込まれたチラシに『大人気小説「バッテリー」。「彼ら」のその後の物語-』っていうキャッチコピーで「ラスト・イニング」って本が紹介されてました。

う~ん、まあ、文庫になったら読もうかな。

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アメンボ号の冒険

アメンボ号の冒険 講談社文庫
椎名誠
512j0jmjvxl_ss500_ 4/10読了♪

マコト少年の子供時代、ひと夏の胸躍る冒険が描かれてる、和製ハックルベリーだよ。
多分かなりの部分がノンフィクションなんじゃないかと思うんだけど、小学校の中~高学年くらいの少年達の憧れと現実がすごく伝わってくる。そして時代のせいもあるんだろうけど、この少年達の行動力がまたすごい。今だったらさすがにこんなことはできないのかなと考えるとちょっとせつなくなる、夏休みに読みたい一冊だね。

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メリーゴーランド

メリーゴーランド 新潮文庫
荻原浩

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1/13読了♪

某地方都市の市役所と、市が作った超不人気テーマパーク「アテネ村」が舞台のユーモア小説。

不人気テーマパークと言えば、先日破綻した某自治体の事が頭にうかぶけど、この小説が描く地方公務員ってのはなかなか圧巻だよ。

アテネ村の高すぎる入場料を下げるかどうかの検討会議で、最近入場料を値下げしたテーマパークはどこも入場者が増えて利益率も改善しているという報告がある。じゃあ、当然ウチも下げるのかと思うと、自治体からの出向者やOBで占められてる理事会の結論は「それでは変更はできんね」となる。なぜなら「我々の料金設定が失敗だったと言う誤解を招きかねん」から!建築やらポスター製作は自分達のゆかりの業者に頼む、もちろん料金は世間相場よりはるかに高く、納期は遅い。4時45分過ぎたら定時退社のための退社準備、昼休みはフライング、景色の良い会議室が空いてないと会議をやらない・・・

もちろん、笑いをとるために大げさに面白おかしく書いてるとこもあるんだろうけど、役所体質の一旦を見てるような気もしてきて、なんだか笑いがほろ苦いよ。

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母恋旅烏

母恋旅烏 双葉社文庫
荻原浩

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1/8読了♪

荻原ワールド全開のユーモア小説。

大衆演劇の役者をやってたお父さんは何をやってもうまくいかない。お母さんに良いトコ見せたくて会社をつくっては倒産の繰り返し、「レンタル家族派遣業」っていう怪しげなビジネスで独立するけどやっぱりダメで、借金を抱えて旅回りの一座に復帰するんだけど・・・

寛二、兄、姉、父、母と順繰りに主人公になるスタイルだけど(他に家族には珠美っていう赤ちゃんがいる)、基本的には寛二が主役、そして影の主役がお父さんかな。

笑いあり、涙あり、荻原ユーモア小説の王道だよ!

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