容疑者Xの献身
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昭和、あの日あの味 新潮文庫
月間『望星』編集部編
月間『望星』(東海教育研究所刊)の連載コラム「あの日・あの味」に書かれた66人の筆者の味の思い出を、時代別に楽しめる本です。
時代別の分類は、以下の5つ。ただし最後の一つは年代は関係ないけど、まあ最近の話だよね。あなたがシンパシーを感じるのは、どのあたりの分類かな。
「食うこと」が大変な時代があった
--戦前・戦中の記憶から(昭和元年~20年)
復興を支えたそれぞれの食事情
--敗戦後の困難の中で(昭和20年~30年)
「生活」が変わったあの時期に・・・・・・
--高度経済成長前後を挟んで(昭和30年~40年)
豊かな国の「表」と「裏」で
--「食うには困らぬ時代」だったが(昭和40年~64年)
忘れられない”異文化の味”
--食の世界の広がりを知って
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たき火をかこんだがらがらどん 小学館文庫
椎名 誠
ばか旅作家を自称し、さまざまなやんちゃを楽しむ椎名誠さん。でも、ある種、人生の次のステップに入ったことを思わせる一冊。
この本はエッセイ集だけど、特定の週刊誌なんかの連載をまとめたシリーズ物ではなくて、これまで書いたままで放置して本に収録していなかったエッセイの中から、著者が見直して「予選を突破して最終選考に残った」ものをまとめた一冊です。それだけに、長さやテーマもバラエティに富んでるけど、なかなか読んでて楽しいものばかり。
でも、そもそも過去に書き散らしたエッセイを見直したりするあたり、やっぱり人生の次のステップ感が漂う気がする。
tomoがとりわけグッときたのは、前文の書き出し部分。
『二人の子供が小さかったとき、武蔵野に住んでいた。ぼくも妻も三十歳とすこしのしんまいの親で(中略)、慣れない男親のぼくが小さな女の子と意識を通じ合える手っ取り早い方法に絵本を読んであげる、というのがあるということを発見した。下の男の子が絵本がわかってくるようになると二人いっぺんに相手ができる。
いろんな絵本を読んだが三歳違いの姉弟が共通して喜ぶのが北欧民話を題材にしたマーシャ・ブラウンの「三匹のやぎのがらがらどん」であった』
これは、「三匹のやぎのがらがらどん」からこのエッセイ集のタイトルをもらったっていうことの説明だね。
椎名誠ファンならご承知の通り、サラリーマンをやめて作家(=自由業)になった椎名誠は、外で働く妻に代わって子育てのプライマリーな担い手としてがんばってた時代があるんだよね。その集大成は「岳物語」を読んでほしい。
もうちょっと引用を続けます。
『当時は家のすぐ近くに武蔵野の雑木林や空き地があってそこで安全に自由に遊ばせることができた。秋の枯葉が多いときは焚き火を作って二人の子供に枯れ葉集めの手伝いをさせたりした。
いま思えば夢のようないい時代だった。
二人の子供に同時に本を読んであげて、二人の子供と一緒に焚き火ができたのは、その時代のその時だけであったのだ。
いま、二人の子供は大人になって、それぞれニューヨークとサンフランシスコで自分の生活をしている。武蔵野の家はもうないし、空き地だってない。もしかするとあの雑木林もなくなってしまったかもしれない。
焚き火をしているその瞬間は、まさかこれが親子で焚き火をする最後のものだとは思わなかったが、人生の出来事なんておおかたそんなことが多いのだな、と漸くいまこの年齢になって気がついてきたのだ。』
tomoの周囲には、今まさに子育て真っ最中の人もいれば、すでに子離れの時代の人もいるけど、そのどちらにもなんだかしっくり心にしみる前文じゃないかと思うけど、どうでしょうか♪
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窓際OL 人事考課でガケっぷち 新潮文庫
斉藤 由香
迫り来る不況とリストラは、窓際OL斉藤由香にも、ひたひたと忍び寄ってきていた(笑)!
サントリー宣伝部で、強壮食品「マカ」の宣伝に励んでいた斉藤由香さんだけど、気がつけば同期のみんなは着々と出世してる。それどころか、かわいがっていた後輩の女性たちまで管理職になりつつあるんだけど。一方で相変わらず平社員のままで人事考課面接では芳しくない反応が続いてるし・・・
そしてついに、関係会社に出向の辞令が出る。私って、飛ばされたの?
社内の先輩を「キャバクラ課長」と呼んでネタにするなどやりたい放題だけど、この斉藤由香さん、実はかの「どくとるマンボウ」北杜夫さんのお嬢さんなんです。
父親譲りの読みやすい文章、そして家庭での「どくとるマンボウ」の様子なんかも書かれてるし、なかなか楽しい一冊だよ。
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海原純子のシンプル贅沢ごはん 三笠書房知的生き方文庫
海原純子
筆者は 東京慈恵医科大学卒業後、同大学講師を経て、女性のための心療内科クリニックを開設している医学博士。さまざまな役職をこなして日本とアメリカを往復する多忙な日々を送っている。
一方で、自分が食べるものはちょこちょこっと自分で作ることに楽しみを感じていて、そんな自分用のレシピを楽しいエピソードとともに綴ったのが本書。レシピには写真もついてる。多忙な筆者だけに、簡単にできて美味しくてお酒のツマミにもよさそうなのが多いのがうれしい。(勝手な想像だけど、筆者はそれなりの”飲み手”だと思う。)
実際、tomoもこのうちいくつかは定番として再現させてもらってます。
マグロのガーリック焼き、ホタテとグレープフルーツのサラダ、キャベツとりんごのサラダ
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もうおうちへかえりましょう 小学館文庫
穂村弘
穂村弘さんは、時たま新聞のコラムで見かけて不思議な面白さのある文章が気になってた存在だけど、今まで本を購入して呼んだことは無かったと思う。
筆者はバブル時代に青春を送った歌人で、本書はそんな筆者がいくつかの雑誌などに発表したエッセイを集めたもの。
なんだか独特の、ちょっとシニカルで自虐的な笑いのセンスが、不思議と私の笑いの波長と合うものが多い。
たとえば・・・
ラブホテルに女の子と入る、女の子がシャワーから出てきて筆者を見て、「ああびっくりした、そこにいたのか」と言う。このせりふは女の子の照れなんかもあって文字通りの意味じゃないと思うんだけど、筆者は「別に冷蔵庫の陰とかベッドの下とかに潜んでいたわけではない。普通に椅子に座っていたのである。私はそれほど影が薄いのだ。」と続ける。私の笑いの波長はここで「くすっ」とくる。
ベッドと壁の間に落とした靴下を、すぐに拾えるのに億劫で拾わないでいて、やがて何十年後かに自分が孤独死したあとでその靴下がだれかに発見されるところを想像する。また「くすっ」。
短歌っていうのは「サラダ記念日」か古典しか知らなかったけど、文中に引用されてる歌をみると、現代短歌もなかなか面白いかな、なんて思ったりもする。
なんとなく読んだ割には、当たりの本でした。もうちょっと同じ筆者の他の本も読み進めてみようかなって気分になってます♪
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ビールを飲んで痛風を治す! 角川Oneテーマ21
田代 眞一
tomoは幸いにして、いまんとこ健康診断で好成績(?)を収めてるけど、尿酸値が高いから、気をつけないと痛風になりますよって言われてる人もいるんじゃないかな。
この痛風、プリン体ってのが関係してて、リスクがある人はビールを飲んじゃいけないって思ってる人が多いはず。
ところが、この本の著書(たぶんすごいビール党)は、そんなことない!って力強く否定する。プリン体ってのは元々体内で合成されちゃうもんだから飲食物を過度に制限しても意味が無いってのがその理由。それに、気にするにしてもむしろより危ないのは食べ物であって、ビールに罪は無いって弁護してくれる、ビールの強~い味方たよ。
だけどもちろん、何をやっても良いってわけじゃなくて、十分な水分と休養をとること、食べ物も含めた全体としてそれなりに気をつけることは大切らしい。
健康診断が心配でビールを恐々飲んでるあなた、いっぺん読んでみたら?
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ほんまにオレはアホやろか 新潮文庫
水木しげる
テレビの朝ドラで話題になってるせいか、本屋さんでは水木しげるさん関係の本がたくさん並んでます。
これはご本人の自伝、まあ聞き書きかもしれないけど、さすがにBIGな人を取り扱ってるだけあって、なかなか面白いです。
あらゆる入試に落ち続ける日々、なんと全受験成中1人しか落ちない試験にも落ちてしまう。
ご両親の心配やご苦労を思うとわらごとじゃないのかもしれないけど、ここまで徹底してるとなんかすごいな~って畏敬の念を覚えます。
紙芝居、貸本と、業界の盛衰を身をもって体験して、最後は大当たりするわけだけど、貧しくっても成功しても、この人なら自分を変えないんだろうなって思いました。
尊敬!
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機関車トーマスと英国鉄道遺産 集英社新書
秋山岳志
機関車トーマスって言えば、日本でも知らない人はいない人気キャラクター。おなじみのイントロが思わず口をついて出てくる人も多いんじゃないかな。
tomoがはじめて機関車トーマスを知ったのは、その昔ロンドンを訪ねたとき。日本人駐在員さんのお宅に遊びに行ったら、そこでお子さん用のおもちゃや絵本があったのです。当時日本ではまだ全然知られてなくて、日本人的感覚だとちょっと顔がくっきりしすぎててかわいくない気がしたけど、いつしか日本でもメジャーになりました。
この本は、機関車トーマスが直接でてくるわけじゃないけど、英国各地の鉄道遺産を訪ねる話です。日本でも鉄道博物館はあるけど、古い列車は展示して飾ってあるのが普通。だけど、イギリスではボランティア達が古い機関車を整備して、いつでも動けるようにして展示したり、実際に短い路線を走らせたりしてるらしい。
トーマスの原作者父子とゆかりのある鉄道遺産や、トーマスにでてくるキャラクターのモデルになった機関車なんかが色々でてきます。
「鉄」にはたまんない本じゃない?
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衆愚の時代 新潮新書
楡修平
衆愚って言えば、ギリシャが起源っていう「衆愚政治」っていう熟語が浮かぶけど、これをWikipediaで調べると、概要としてこんな記述が書かれている。
(以下Wikipediaより引用)
有権者の大半が知的訓練を仮に受けていても適切なリーダーシップが欠けていたり、判断力が乏しい人間に参政権が与えられている状況。その愚かさゆえに互いに譲り合い(互譲)や合意形成ができず、政策が停滞してしまったり、愚かな政策が実行される状況をさす。また有権者がおのおののエゴイズムを追求して意思決定する政治状況を指す。エゴイズムは自己の積極的利益の追及とは限らず、恐怖からの逃避、困難や不快さの回避や意図的な無視、他人まかせの機会主義、課題の先延ばしなどを含む。
判断力の乏しい民が意思決定に参加することで、議論が低廻したり、扇動者の詭弁に誘導されて誤った意思決定をおこない、誤った政策執行に至る場合などをさす。また知的訓練を受けた僭主による利益誘導や、地縁・血縁からくる心理的な同調、刹那的で深い考えにもとづかない怒りや恐怖、嫉妬、見せかけの正しさや大義、あるいは利己的な欲求などさまざまな誘引に導かれ意思決定をおこなうことで、コミュニティ全体が不利益をこうむる政治状況をさす。また場の空気を忖度することで構成員の誰もが望んでいないことや、誰もが不可能だと考えていることを合意することがある(アビリーンのパラドックス)。
大衆論の見地によれば、大衆を構成する個々の人格の高潔さや知性にも関わらず総体としての大衆は群集性(衆愚性)を示現する可能性がある。衆議を尽くすことでしばしば最悪のタイミングで最悪の選択を合意することがあり、リーダーシップ論や意思決定における「合意」の難しさは重要な論点となる。近代民主主義制度においては意思形成(人民公会)と意思決定(執政権)を分離することでこの問題を回避しようとするが、独裁と民主的統制の均衡において十分に機能しないことがある。
(引用終わり)
著者は、政治というより主としてマスコミの偽善的報道に対して批判しているように思える。
派遣切りはそんなに悪いのか(経済合理性を求める企業は、人件費に耐えられず海外に行ってしまって、ますます国内の雇用がなくなる)
マスコミが弱者を作り出す(フリーターや引きこもりなど、個人の問題を社会の問題だとして論じて責任転嫁を助長している)
サラリーマンは気楽な稼業か?夢を追うといっても現実は厳しい(就職を考える若者へ)
う~んと唸りながら読んでしまう項目がたくさんありますが、最後の提言が老人テーマパークを作ろうっていうのは、ちょっと安直なのではないかと思ってしまうのは私だけ?ページ数の都合で結論を急いだのか、説明不足な感が否めませんでした。
ちなみに著者は、慶應義塾大学大学院終了、外資系企業在職中に書いた本がベストセラーとなり、小説家専業となった方だそうです。
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食の極道 喋るも食うも命がけ 文春文庫
勝谷誠彦
著者の勝谷誠彦(かつやまさひこ)さんのことも知らなかったんだけど、どうやらジャーナリスト、コラムニストで、仕事であちこち旅しながら美味しいものを食べ歩いてる人らしい。
さぬきうどん好きには『麺通団』運営者の一人って言ったら興味が沸くんじゃないかな。
そんな筆者が、長年の取材旅行で美味しいお店を探し当てたり、時には大失敗しちゃったりする(読んでる分には、この失敗談がまたニヤリとさせられて楽しい)顛末がつづられてる。おちゃらけた表紙の割には読み応えがあって楽しい本でした。
「赤坂麺通団」開店までの裏話が載ってるのもなかなかGOOD♪
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